「この園の特徴は何ですか?」とよく聞かれますが、「取り立てて何を強調するのではなく、
日々の繰り返しの中でごく自然に普通の保育をして、のびのびと明るく育つよう心掛けています。」
と答えております。
当園では毎日給食を食べますが、食事の前には給食の歌の後「お父様お母様ありがとうございます。
こぼさないようによくかんで、おいしくいただきます。先生いただきます。皆さんいただきます。」
と合掌してからいただきます。
先日あるところで幼稚園の様子を撮影した映画を見る機会がありました。のびのびと遊ぶ子ども、
色々と工夫して自由な発想で遊ぶ子どもの姿はほほえましい限りでした。
だんだん進んでいくうちに、お昼のお弁当の時間になりました。
「さぁ、おひるですよ」「はぁーい」と、子どもたちはお弁当の入ったカバンを持って、
今まで遊んでいたダンボールの組み合わせた山に登りはじめました。
どこでお弁当を食べるのかなと見ていますと、それぞれの子どもたちが好きな所に腰を掛けたり、
あぐらをかいたりしてお弁当を食べ始めたのです。
そこには「いただきます」のあいさつはなにもありませんでした。
私は考えました。食事はただお腹を一杯にすればいいのかなぁ。いや、作ってくださった方への感謝、
お魚やお肉が生命を提供してくれていることへの感謝、
尊い生命をいただくということへの祈りがなければならない。と。
お腹がすいたので食べようというだけでは、人間の食事とはいえません。
そこで、幼児は「小さいからまだいいか」といってはいられないと思うのです。小さい時だからこそ、
しっかりと教えておかなければならないことなのです。
毎日のさりげないあいさつのことば、日常の会話や食事の作法、これらはすべて親から子へ、
孫へといつのまにか伝わっていくのです。
食事の時の作法、食事をいただくときの心などは、それぞれの家風があると思いますが、
生命をちょうだいしていることへの感謝と、祈りをわすれてはなりません。
仏教ではこのように、自然といつのまにか身についていくことを薫習(くんじゅう)といって大切にします。
子育てには薫習が大事なのです。親から子どもへの薫習、おじいちゃんおばあちゃんから孫への薫習、
先生から園児への薫習を大事にしていこうと思っております。